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腎性貧血

血液中の老廃物を濾過して尿として出す「腎臓」という重要な臓器があります。この腎臓は、尿を作るだけではなく、さまざまなホルモンを分泌しており、その一つに赤血球をつくる働きを促進する「エリスロポエチン」というホルモンがあります。腎臓が弱ってきて働きが低下すると、このエリスロポエチンの分泌も減り、赤血球を作る能力が低下して貧血になります。

腎性貧血の症状は倦怠感、動悸・息切れ、めまいなどが一般的ですが、徐々に進行するために体が貧血の状態に慣れてしまってあまり症状を感じないこともあります。ただし、症状を感じていなくても、貧血をカバーするために心臓をはじめとした様々な臓器に負担がかかっていますので、治療を始めることが推奨されています。

診断のためには、血液検査で腎臓の機能(尿素窒素、クレアチニンなど)、貧血の有無(赤血球数、ヘモグロビンなど)、エリスロポエチンの量などを測定することが必要です。エリスロポエチンの正常値はその際の貧血の度合いによりかわります。一般的に併記されている基準値は貧血でない人の基準値なので注意してください。MCVという赤血球の大きさの数値は鉄欠乏性貧血では小さくなりますが、腎性貧血では正常範囲内のことが多いです。血液検査での腎臓の数値(尿素窒素やクレアチニンなど)があまり高くなくても、エリスロポエチンが必要量分泌できていないケースもあります。専門医にご相談ください。

治療についてはエリスロポエチンの分泌不足を補う注射薬や、体内のエリスロポエチン産生を促す内服薬による治療などが行われています。鉄欠乏を合併しているケースでは、食事療法や鉄剤の内服を併用することもありますが、鉄剤自体には腎性貧血を改善させる効果はあまりありません。腎性貧血の場合、一般的にはヘモグロビン値が11 g/dl13g/dlになるようにお薬の量を調整することが多いですが、その患者さんの合併症などの状態により目標値は様々です。貧血の進行がさらに腎機能を悪くさせるという報告もあり、腎性貧血に対してはなるべく早くに治療を開始することが患者さんの予後を改善すると言われています。当院では、エリスロポエチン製剤の新規導入の他、腎性貧血に対するのみ薬も使用できます。のみ薬をご使用の方は処方時にも説明があったと思いますが、ほかの薬とののみあわせやタイミング、食事とのタイミングを間違うと薬が効かなくなることがありますので注意してください。

お気軽にご相談頂ければ幸いです。

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