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特発性血小板減少性紫斑病

特発性血小板減少性紫斑病(現在は免疫性血小板減少症と言われることもあります)は、血小板が減少するようなほかの病気や薬の投与などの明らかな原因がなく、血液中の血を固める成分である血小板という血球が減少して出血しやすくなる病気です。小児で発症した場合には6ヶ月以内に自然軽快する「急性型」が多く、成人発症の場合には6ヶ月以上症状が遷延する「慢性型」が多いと言われています。成人では2040歳の女性の方と、6080歳の高齢の方に多いと言われています。日本国内では約3万人の患者さんがこの病気を患っており、毎年約3000人の方がかかると言われているまれなご病気で、厚生労働省の指定難病になっています。治療や状態によっては難病指定がとれて治療をするのに金銭的に有利になることがあります。難病指定の申請は難病指定医による書類の記載が必要です。当院でも対応できます。

原因としてはウイルス感染や予防接種などが先行するケースもありますが、成人発症の場合はっきりとした原因が分からないことがほとんどです。病気の仕組みとしては自分の体の中の血小板に対する「自己抗体」と呼ばれる物質がリンパ球から作られるようになり、これが自分の体の中の血小板を攻撃することにより、血小板が減ってしまうと考えられています。

症状としては出血があげられますが、具体的には皮膚の点状や斑状(いわゆる内出血のようなもの)の出血、鼻血や歯ぐき・口腔内の出血の他、血尿、血便、女性の方であれば月経過多などがあります。重篤な場合には脳出血を起こすこともあります。

診断としては、血液検査で血小板数が10/μl未満に減少した場合にこの病気が疑われ、その他の血小板減少の原因となる病気(関節リウマチや白血病など)や薬剤性(胃薬が原因となることがあります)の要因がなく、骨髄検査で正常な巨核球(血小板を作るもとになる細胞)がある程度の数認められることなどが証明されればこの病気と診断されます。また、ピロリ菌が陽性の方は除菌で症状が改善することもあるので、この病気が疑われればピロリ菌の検査も実施することが必要です。

治療法については、ピロリ菌陽性の患者さんでは半数以上の方でピロリ菌の除菌療法により血小板減少が改善すると言われています。また、手術や出産を控えているなどの特別な状況でなければ、血小板数が常に3/μlを超えており、出血がなければ無治療で様子を見ることが一般的です。それ以外の場合には、「自己抗体」を作り出すリンパ球を抑える目的でステロイド剤を使用したり、血小板産生を促すロミプレート®やレボレード®というお薬を使ったりします。難治性の方では、血小板が壊される場所である脾臓という臓器を取り除く手術(脾摘)や、悪性リンパ腫の治療に使うリツキサン®という分子標的薬を使用することもあります。緊急の場合には血小板輸血を行うこともありますが、通常より血小板の輸血の効果は限定的です。手術などを控えている場合やコントロールが難しい出血がある場合は一時的に血小板をあげる大量ガンマグロブリン投与を行うこともあります。当院では特発性血小板減少性紫斑病のフォローアップから各種治療まで様々な状況に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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