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真性多血症

真性多血症は、骨髄増殖性疾患の一つで、後天的に(遺伝や生まれ持ってではない)造血幹細胞(血液の赤ちゃん)の遺伝子異常が発生することにより、赤血球以外にも白血球、血小板も増えてくる病気です。10万人中2人に発症する比較的まれな病気で、60歳前後に発症のピークがあると言われています。

症状としては顔面紅潮、脱力感、疲労、頭痛、ふらつき、息切れ、寝汗、入浴後の体のかゆみなど様々なものがありますが、無症状のことも多いです。真性多血症で1番注意すべきなのは血栓症で、増えすぎた赤血球によって血液の粘性が上がる(いわゆる血液がドロドロになる)ことによって、下肢の血管や心臓、脳、肺、肝臓など様々な場所に血栓ができるリスクが高くなります。脳梗塞をくりかえす人が実はこの病気だったというケースもあります。長期的な経過で1015%の方に骨髄が固くなって血球がうまく作れなくなる骨髄線維化という別の病気を引き起こすことがあり、この状態になるとむしろ貧血を認めることもあります。とはいえ、急性白血病などへの移行はまれであり、血栓症の発生さえ抑えることができれば、健康な方と同じくらいの寿命を期待できるご病気です。

真性多血症の患者さんの95%以上にJAK2遺伝子の異常が認められ、一部にはCALR遺伝子やMPL遺伝子の異常が認められます。これらの異常によって血球産生のブレーキが効かなくなり、過剰に血球が造られてしまいます。血液検査で全ての血球の増加が認められ(最初は1つだけということもあります)、さらにこれらの遺伝子異常が証明されれば診断はほぼ確定します。また、喫煙や肺疾患、エリスロポエチン産生腫瘍、睡眠時無呼吸症候群などによる二次性の多血症を鑑別するために、問診をさせていただき、パルスオキシメーターという機器で血液中の酸素の取り込み量(動脈酸素飽和度)を測ったり、エリスロポエチンという赤血球の産生を促進するホルモンの量を測定したりすることがあります。高山に住んでいる方は普段から低酸素になれているためいわゆる多血症になっている方もいますが、真性多血症ではありません。

治療としては、血液を抜くことによって増えすぎた血球を取り除く瀉血療法も一つの選択肢となります。適切な基準にあわせて瀉血を実施することで鉄欠乏性貧血とバランスをとり、頻回に瀉血をしなくてもいい状態を目指します。また、血球の産生自体を抑えるハイドレア®という飲み薬、JAK2阻害剤(異常に活性化したJAK2遺伝子の働きを抑える)のジャカビ®という飲み薬(JAK2遺伝子異常がなくても適応があります)などが用いられます。また、血液の状態から血栓症のリスクが高いと判断された場合はバイアスピリン®といった血液をサラサラにする飲み薬が用いられることもあります。当院では瀉血療法も実施できますし、専門的な内服治療も対応することが可能ですので、お気軽にご相談ください。

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